マタイ福音書2章1～12
「占星術の学者たち」（2:1）とは、いったい何者でしょうか。
好意的に受けとめれば、天文学に通じ、病人をいやす賢者ということができます。
しかし、預言者は星占いをきびしく非難しました。
天がこう告げていると、王の意向に沿う託宣によって民を誘導する人たちです。
神を信じている訳でもありません。
「東の方から」（2:1）
イスラエルは、東の大国に蹂躙され続けました。
どうして、そんな歓迎すべきでない人たちがやって来て、真っ先に幼子を礼拝したのでしょうか。
「ユダヤ人の王としてお生まれになった方は、どこにおられますか。」（2:2）
マタイ福音書で、最初に記録されている人間の声です。
「ユダヤ人の王」とは、権力を振るって人々を統治する王です。
しかし、幼子はそんな方ではありません。
ヘロデが言います。
「メシアはどこに生まれることになっているのか」（2:4）
「どこに」が、繰り返されています。
自分の地位を脅かす者は、「どこに」生まれるのか。
ヘロデは殺意を抱いて、「どこに」生まれるのかと聞いているのです。
「東方で見た星が先立って進み」（2:9）
絵本とかでは、光り輝く星が導いたという描き方をします。
しかし、むしろかすかな星の瞬きだったのではないでしょうか。
小さな変化に目を留める者だけが、その変化に気づくのです。
「別の道を通って自分たちの国へ帰って行った。」（2:12）
ヘロデに報告するためにエルサレムに向かうのではなく、「別の道」を帰って行ったのです。
今までのように、王のご機嫌をとる生き方をやめた。
無力な幼子の姿で世に来られたメシアを仰いで歩もう。
そう心に決めたのです。
わたしたちは、ヘロデのような残虐な王と共に、現代の世界を生きています。
しかし、別の道を歩むことはできるのです。
神を知らず、怪しげなまじないや占いで食べてきた人たち、近隣諸国を侵略する王に仕える人たちが、なぜ幼子を礼拝することができたのか。
何の資格もない者、敵対する者が招かれ、別の道へと促される。
そして、イザヤ書や詩編の描く、すべての民が主を礼拝する究極の救いのときが、今、実現した。
こう語っているのです。
PR
